eVscopeが生まれた背景
CEOのLaurent Marfisiは14歳の時にアンドロメダ銀河を見たときの失望を今でも覚えていると言います。1時間かけてやっと見つけたアンドロメダ銀河は期待していた「鮮やかな色の円盤」ではなく「奇妙な灰色の霧のようなもの」でした。
2018年にノーベル物理学賞を受賞したGerard Mourouのもとで博士号を取得した彼の友人Arnaud Malvacheもまた同じような失望を味わっており、光学と画像処理分野の研究をしていた彼は低光センサーを使用して、望遠鏡の接眼レンズを通して見る光を徐々に強めたらどうだろうか、と考えていました。
LaurentとArnaudの他にもArnaudと同じくGerard Mourouのもとで博士号を取得したAntoninとSETI協会のシニア天文学者で三重小惑星を始めて発見したFranckも仲間に加わり、彼らは天体望遠鏡を作り始めたのです。
Unistellar社が作る天体望遠鏡の特徴
・エンハンストビジョン
小さい光もピックアップするソニーによる超高感度センサーを使用し短い時間で光を蓄積させる技術と独自に開発された望遠鏡内臓算出モジュールの画像処理アルゴリズムの二つの特許技術からなっています。
特許技術の結果増幅された画像は焦点を見る者の目に合わせた形で映し出され、とても鮮明で高いコントラストにより、真の天体観測をリアルタイムで楽しんでいただけます。センサー設定と画像処理のパラメーターは、自動で調節されます。
・AFD (自律フィールド検出機能)
天体を正確に認識し、望遠鏡を最適な方向へセッティングする弊社特許技術です。現在向いている方向を何百万もの星の情報を取り入れた内臓座標データベースと比較する事で望遠鏡の視野に入った星を自動的に認識します。
磁力加速度計、電動マウントとAFDが組み合わさる事で、eVscopeはどんな天体やオブジェクトも自動で認識し、正確に焦点を合わせます。焦点が合わさった被写体の周りやコンテクストも含めた情報がユーザーのスマートフォンへ送られます。
・SETI 協会(地球外知的生命体探査)とのパートナーシップ
SETI 協会(地球外知的生命体探査)とのパートナーシップより、あなたを世界中のアマチュア天文家ネットワークにつなげ、これまでにない観測のあり方を提供します。太陽系外惑星のトランジットや超新星など、特別な天文学イベントを見ることができる他、世界的市民科学ネットワークに参加するだけで誰でも科学貢献できる環境を作ります。
実際に2019年の夏には、約160光年先と280光年先に木星規模の太陽系外惑星のトランジットを観測し、2019年9月には、Orus(小惑星)の掩蔽を誰よりも早く観測することに成功したことからNASAのルーシー(Lucy)計画にも貢献しました。