高齢者見守りサービスの種類とは?それぞれの特徴を比較

遠く離れた実家に、高齢者となった親が一人で住んでいる方にとって「何かあった時はどうしよう」と日々の暮らしぶりが心配ではないでしょうか。かといって「親が住み慣れた実家を離れたくない。」「老人ホームへの入居を望んでいない。」「親を呼び寄せて同居するのは、自分の家庭もあって難しい。」と高齢者になってから実家を離れるという選択は、親、そして子にとってもハードルが高いかと思います。

そこで検討をお勧め致したいのが、実家での「高齢者見守り」です。
親と子の状況に合わせた「高齢者見守り」の方法とサービスを選択することで、親が実家住まいのままでも両者が日々の生活に最小限の負担で、安心感を得ることができます。
 そこで、この記事では、以下についてご紹介します。

・高齢者見守りの種類
・実家に住む高齢者の見守りの必要性
・実家に住む高齢者見守りサービスの種類
・実家に住む高齢者を見守るサービスの選び方

自立度・健康状態に合わせた高齢者見守り

日本社会において少子高齢化が急速に進んでいる中、東京都福祉保健局は、高齢者の自立度や健康状態に合わせた地域社会における高齢者見守りの重要性を説いており、程度ごとに以下の3つに分類しています。(「高齢者等の見守りガイドブック」第3版 2017東京都福祉保健局)

 

緩やかな見守り

地域住民や民間事業者が日常生活、日常業務の中で、いつもと違う、何かおかしいと感じる人がいたら専門の相談機関に相談するなど、地域で緩やかに行う見守り活動。

(例)

・「郵便受けに新聞がたまっていないか」、「昼間でも電気がついたままになっていないか」など、地域住民がさりげなく確認する見守り。

・地域住民が散歩や買い物などの際に、不特定の人や住民をさりげなく気に留める見守り。

 

担当による見守り

安定的な安否確認や声掛けが必要な人に対して、民生・児童委員、老人クラブ、住民ボランティアが訪問するなど、担当を決めて定期的に行う見守り活動。

(例)

・住民ボランティアによる1:1の見守り

・団地住民が「両隣を見守る」活動


専門的な見守り

認知症など対応が困難なケース等に対して、地域包括支援センター、高齢者見守り相談窓口等の専門機関の職員が専門的な知識や技術を持って行う見守り。

(例)

・地域包括センターや高齢者見守り相談窓口等の専門機関による定期的な見守りにより、行政、介護サービス、医療などの関係機関に紹介。

実家に住む高齢者の見守りの必要性

「担当による見守り」や「専門的な見守り」を実家の親が受けている場合は、日頃から定期的なサポートと、何かあったら連絡も来るので安心かと思います。
まだ、実家の親が普段は自立して生活できている方とはいえ、高齢者の場合、いつ何が起こるか分からないので「緩やかな見守り」をする必要性を感じている方も多いのではないでしょうか?
実は今、特に全国的に課題となっているのが、この「緩やかな見守り」です。

確かに、東京都福祉保健局が上記に推奨するように、実家で一人暮らしをする高齢者の親を地域が見守ってくれることが理想かと思います。また地域の方の好意によるものなので、無料です。しかしながら、同局も日本において65歳以上の一人暮らし高齢者は、2025年には89万世帯を超え、総世帯数に占める割合は13 %を超え、社会全体の高齢化が進んでいるので、地域に根差した高齢者見守りは、限界があるとしています。更に、孤立社会、無縁社会化が進んでおり、「緩やかな見守り」は年々難しくなると指摘されています。


実家に住む高齢者見守りサービス【7種類】

そのような地域に頼る従来の「緩やかな見守り」になかなか頼れないという状況の中、実家に高齢者の親が一人暮らしをされている方に是非、ご検討をお勧め致したいのが、「高齢者見守りサービス」です。現在、さまざまな高齢者見守りサービスがありますが、以下に主なものをご紹介致します。

 

① 訪問型・宅配型の高齢者見守りサービス

訪問型・宅配型の高齢者見守りサービスでは、スタッフが実際に実家に出向いて対面で親とコミュニケーションを取ってくれます。代表的な例は、郵便局とお弁当の定期便配達です。
郵便局による高齢者見守り訪問サービスは、郵便局社員が毎月1回30分程度、実家を訪問し、会話を通じて生活状況を確認し、その結果を家族に伝えてくれるサービスです。参照元:PR Times

またお弁当の定期便配達では、配達の際に、安否や食事の様子を確認してくれ、必要に応じて家族に連絡してくれます。
訪問型・宅配型の高齢者見守りサービスのメリットは、実家に一人で住む親にとって、他者とのコミュニケーションのよい機会になるという点です。一般的に一人暮らしをする高齢者は、周りのことを考える機会が減ることから、脳への刺激が少なくなると言われています。対面でのコミュニケーションは、思考と感情に良い影響を与えるだけでなく、相手に自分の話を聞いてもらうことで安心感や満足感を与られるという効果もあります。
しかしながら、訪問型・宅配型の高齢者見守りサービスのデメリットは急な体調不良や転倒などに対してリアルタイムに対処するサービスではないという点です。確かにオプションなどで「駆けつけサービス」を付けることもできますが、家族からの要請があった場合のみとなっている場合が多く、あくまで緊急事態は家族が見守る必要があります。

郵便局の見守りサービスの詳細はこちら(外部リンク)

②電話での会話型高齢者見守りサービス

電話での会話型高齢者見守りサービスは、担当者が定期的に実家に電話をかけて親の安否確認や相談にのってくれるサービスです。電話の頻度は、見守りサービスによって1日1回~1週間に1回など異なります。訪問型・宅配型の高齢者見守りサービスと比較すると一般的に安い価格で頻度高く安否確認を依頼することができます。また先に述べたように、高齢者にとってスタッフとのコミュニケーションは脳への良い刺激と安心感になるというメリットがあります。
デメリットは、他人とのコミュニケーションがあまり得意でない高齢者にとっては、相手の表情が見えない電話での会話は、かえってストレスになる可能性もあるという点です。

参照元:つながりプラス/株式会社こころみ 

 つながりプラスの詳細はこちら(外部リンク)

③通報型高齢者見守りサービス

通報型高齢者見守りは、実家での転倒時や、急な体調不良を感じた時に、親が通報ボタンを押すだけで、スタッフがかけつけてくれるサービスです。
メリットは、家族が遠くに住んでいても、24時間365日いつでも実家に向かってくれるスタッフが待機しているという点です。
デメリットは、通報しないとスタッフが来ないため、通報ボタンを押せないような重篤な状況に対応できない可能性がある点です。

参照元:ALSOK/綜合警備保障株式会社

HOME ALSOK みまもりサポートの詳細はこちら(外部リンク)

④カメラ型高齢者見守りサービス

カメラ型見守りサービスは、実家にカメラを設置し、様子をライブ映像で確認できるサービスです。
メリットは、自身のスマホで実家の様子をいつでも都合の良い時や気になった時に確認できる点です。デメリットは、画像をモザイクなどに設定することはできますが、プライバシーの侵害から親がカメラを嫌がるかもしれない点です。もう一つの問題点は、検知機能の精度です。検知機能が異常を感知して知らせてくれますが、通知が過剰に届く、もしくは逆に設定外の緊急事態が起きて探知できず、本当に緊急性がある時に対応し損なってしまうという可能性もあります。

参照元:みまもりCUBE/株式会社ラムロック

 みまもりCUBEの詳細はこちら(外部リンク)

⑤家電型高齢者見守りサービス

家電を使った高齢者の見守りは、毎日使う実家の家電製品にセンサーを設置し安否確認を行うサービスです。つけっぱなしなど使用時間が異常に長い、もしくは長い間使用がないなど状況の変化や、いつもと違う使用行動が起こった場合、家族にすぐに通知が入ります。高齢者見守り昨日のある家電には、電球、リモコン、テレビ、電気ポット、冷蔵庫などがあります。
メリットは、カメラ型高齢者見守りサービスと異なり、実家に一人暮らしをする親のプライバシーを守りながら、日々の暮らしにおける異変を察知できる点です。デメリットは、1日の行動を通しての異変を検知してから異常通知が発せられるので、緊急事態にリアルタイムに対応できるとは限らない点です。

参照元:見守り電球/エヌ・ティ・ティレゾナント株式会社

見守り電球の詳細はこちら

⑥複合型高齢者見守りサービス(ホームセキュリティ)

セキュリティ会社が提供する複合型の高齢者見守りは、急な体調不良だけでなく、犯罪、火災など実家におけるあらゆる緊急事態を見守り、異常を感知したら24時間365日スタッフが駆け付けてくれるサービスです。
メリットは、実家にいる親の安全を総合的に見守ってもらえることです。
一方、複合型な高齢者見守りサービスであるため、初期費用として工事費などの設定費がかかるのと月額月額の契約料金が高めであるというデメリットがあります。

参照元:ホームセキュリティ/セコム株式会社

セコム・ホームセキュリティの詳細はこちら(外部リンク)

⑦センサー型高齢者見守りサービス

センサー型の高齢者見守りは、お風呂やトイレなど毎日使う場所にセンサーを設置し、1日の生活を通してセンサーに反応がない場合、家族の元へ連絡が届くサービスです。中には、スタッフが実家へ駆けつけてくれるサービスもあります。メリットは、毎日使う場所にさりげなくセンサーを設置することができるので、プライバシーを守りながら見守りができることです。デメリットは、サービス事業者によって、機能、初期費用、月額費に大きな差があるため、よく吟味する必要がある点です。
例えば、センサー機能によっては、異常性が低い場合でも反応しお知らせが1日に何度も届いて本当に緊急性が高い時に対処が遅れるという危険性があります。

ひとり暮らしのおまもり/株式会社ビーラボ

ひとり暮らしのおまもり(外部リンク)

実家に住む高齢者を見守るサービスの選び方【4つのポイント】

このように現在、高齢者を見守るサービスの種類は多様化しています。それぞれにメリットとデメリットがありますが、何を基準に選んだら良いのか迷われている方も多いのではないでしょうか?高齢者見守りサービスは、長い期間利用することを前提として選ぶことが重要です。ですので、継続可能なように、親にとっても子にとってもストレスそして負荷がかからないサービスを検討することをお勧め致します。以下に高齢者守りサービスを選ぶ際の具体的なポイントをご紹介したいと思います。

ポイント1:設定が簡単・初期費用が無料な見守りサービス

高齢者見守りサービスを導入するにあたり、実家を工事する必要があると、初期費用がかかり負担となります。また、親も工事の人が家に出入りするのはストレスとなるかもしれません。将来的には老人ホームに入る、または急に体調を崩して入院をするといったこともあるかもしれません。それを考えると、見守りサービスを導入する際の初期費用は無駄な投資となってしまう可能性もあります。例えば、複合型な高齢者見守りサービスは、包括的に親の安全性を見守ってくれますが、導入の際の工事費・機器費用は相場で約5万円以上はかかります。
訪問型・宅配型の高齢者見守りサービス、電話での会話型高齢者見守りサービス、家電を使った高齢者見守りサービスなどは当然のことながら、工事の必要がないので、簡単にサービスを開始することができますが、入会金がかかるケースがほとんどです。
センサー型高齢者見守りサービスはサービス提供事業会社によって初期費用が異なりますが、無料のところもあるので、よくリサーチをすることをお勧め致します。

ポイント2:プライバシーに配慮した見守りサービス

子供としては、実家にいる親の様子を映像で確認することで安心感を得られるかもしれません。しかしながら、いくら安否確認のためとはいえ、親もカメラで24時間観られるのは、監視をされているような気がして抵抗を感じるかもしれません。
そこで、センサー型や家電型などプライバシーを保護した見守りサービスを選ぶことをお勧め致します。

ポイント3:緊急性の高い時にだけ通知が来る見守りサービス

先にお伝えしたように、訪問型や会話型の見守りサービスは、転倒や急な体調不良をタイムリーに把握することが難しいです。通報型高齢者見守りサービスは親自身が通知を送れないくらい重篤な状況ではお知らせが来ないという危険性があります。逆にセンサーが過剰に反応したり誤報が多いと本当に緊急性がある時を把握するのが困難です。そこで、緊急性の高い時にだけ通知が来る精度の高い見守りサービスを選ぶことがポイントです。

ポイント4:月額料金がリーズナブルな見守りサービス

どの見守りサービスを選択しても、月額料金がかかります。それぞれのサービスの概算を以下に簡単に比較してみたいと思います。


【高齢者見守りサービスの月額料金比較】※税込み/2022年11月現在


見守りサービスの種類サービス名/提供事業者月額料金サービス内容
1訪問型・宅配型
高齢者見守りサービス
郵便局の見守りサービス/
日本郵便株式会社
¥2,500

月1回30分の訪問
2電話での会話型
高齢者見守りサービス
つながりプラス/
株式会社こころみ
¥8,800毎週1回お電話&ライフレポ―ト
3通報型
高齢者見守りサービス
ALSOK/
綜合警備保障株式会社
¥1,870*機器お買い上げプラン/
¥2,750月額レンタルプラン
緊急ボタンを押すと、24時間365日いつでも実家にスタッフが駆け付けてくれる
4カメラ型
高齢者見守りサービス
みまもりCUBE/
株式会社ラムロック
¥4,290ライブ映像・録画映像の確認、会話機能
5家電型
高齢者見守りサービス
見守り電球/
エヌ・ティ・ティレゾナント株式会社
¥1,078*専用電球・電気代別途

いつもと違う状態の時、見守る側に通知でお知らせが届く
過去の通知履歴から異常時・正常時を確認できる


6複合型
高齢者見守りサービス
ホームセキュリティ/セコム株式会社3,300機器お買い上げプラン/
¥4,840 *レンタルプラン
急な体調不良だけでなく、犯罪、火災など実家におけるあらゆる緊急事態を見守り、異常を感知したら24時間365日スタッフが駆け付けてくれる
7センサー型
高齢者見守りサービス
ひとり暮らしのおまもり/株式会社ビーラボ¥770センサーを取り付けた場所(ドアなど)が12時間以上動かない異常事態になると通知が届く


・電話での会話型高齢者見守りサービス:毎週1回お電話&ライフレポ―ト¥8,800(株式会社こころみ)

価格だけで選ぶのは危険ですが、親と子にとって安心感が得られる見守りサービス内容であれば、できれば月額¥1,000前後に抑えられたら理想ですよね。

高齢者見守りサービスについてのまとめ

現在このように多種多様な見守りサービスがあり、実家に高齢者の親が一人暮らしをされている方にとっては、心強い味方になってくれることかと思います。
上記4つのポイントと親子の状況に合わせた見守りサービスを選択することで、親が実家住まいのままでも両者が日々の生活に最小限の負担で、安心感を得ることができるでしょう。