ユーザーの体温で発電するMATRIX テクノロジーを搭載したMATRIX PowerWatchシリーズの最新作、MATRIX PowerWatch Series 2(マトリックスパワーウォッチ シリーズ2)が、先月ベルリンで開催された世界最大級の家電ショー「IFA」で、2019年秋に正式販売されるというアナウンスされました。数日間、開発中の実機を試してみましたので、レビューをお届けします。
斬新な発電機構を搭載した唯一無二の存在
MATRIX PowerWatch(マトリックスパワーウォッチ)はシリコンバレーのスタートアップMatrix Industriesが開発をしています。同社は世の中にある捨てられてしまう熱エネルギーに着目し、そこから電力を生む技術、またはその逆で、電力から冷却力を生み出す技術を研究しているチームです。
この技術は、対応年数の長さとメンテナンスの手間がかからないという特性を有し、宇宙探査機で使用されてきた一方で、従来は発電効率に問題を抱えており、普及しませんでしたが、独立したセンサーや新しい発電方法として、再度注目されています。
Matrix Industries社は日本の温泉の熱にも着目しており、温泉から発電する実験を日本で行っているとの事です。
ケースサイズは47mm、少し大きいが全モデルと比較してかなり薄くなった
MATRIX PowerWatch Series 2のケースサイズは47mm、腕時計としては大きいサイズです。数字を見る限りではどうしても男性向と感じましたが、かなり薄くなったので、女性でもデカ厚が好きな人は選択肢に入るかなという印象を受けました。
アルミニウム合金のケースは初代よりもより洗練されたイメージを受けます。初代の無骨な感じが好きな人もいるかもしれませんが、良い意味でこなれてきています。
MATRIX PowerWatch Series 2 ベーシックモデルのバンドはシリコンバンドを採用、エンボス加工が施されたベルトは質感、装着感共に良いですね。初代はナイロンベルトでしたが、シーズンを通して腕に巻くことや、200m防水という機能、そもそもユーザーの体温で発電するというコンセプトからすると、シリコンは良い選択だと思います。
上位モデルにはステンレススチールのベルトのモデルもあるので、ドレッシーな感じにしたい人はそちらを選択されるのが良いでしょう。尚、ラグ幅は22mmで、ラグ幅が合えば市販のベルトも取り付け可能です。
裏面には心拍計のセンサーを搭載しています。また、ブランドのロゴは今作から炎をイメージしたものに変更になっています。
液晶は1.2 inchのカラーディスプレイ、個人的には前作のモノクロ表示も良かったのですが、機能が多くなった分、カラーディスプレイの方がやはり便利なのであろうと思います。ぐるっと赤くなっているインジケーターがリアルタイムの発電量を表します。次回ご説明しますが、今回はアプリで具体的な発電量が確認できます。その他、左下に歩数、右下に消費カロリーが確認できます。カレンダーの九だけがなぜか漢数字ですが、これは修正予定との事。
気になるディスプレイの発色と視認性を屋内と日中屋外で試してみましたが、こちらは非常に良いですね。屋外、屋内ともに非常に高い視認性を有します。十分な光量のバックライトも搭載していますので、暗くても大丈夫です。
左右上下に2個づつ、計4つのボタンが配置されており、表示切替や操作はそのそのボタンを押して操作するのですが、前作と比較すると少し不満を感じました。前作は竜頭を回してメニュー切り替えができたので、操作性は少し落ちたかなと思います。
PowerWatch Series 2 付属品
パッケージに同梱されている付属品を見てみましょう。付属品はPowerWatchロゴ入りクロスに充電器、1年感の保証書が同梱されます。
充電器は緊急時にチャージする為に付属するとの事です。温度差での発電は外気が32度を超えるとかなり厳しいようですので、現実的な解決方法なのかもしれません。
おススメする人と感じたこと
アプリの使用感などはまた後程レビューをさせていただきますが、数日間使用した感覚を基にまとめてみます。
・価格に見合った時計の存在感
ベルトも含めた質感、ディスプレイの視認性は満足度が高い。サイズは好みの問題。人に会うと30%の確率で「それ何の時計?」と聞かれます。その後3分くらいはこの時計の話で引っ張れます。
・機能的にはファーストチョイスではない
それなりに高額ですし、飛躍的な進化をして「スマートウォッチ」と呼べるレベルまで達したと感じましたので、あえて比較しますが、単純な「機能の多さ」「便利さ」を求めるのであれば同額程度の他メーカーの方が優れています。充電が不要、体温を基にした消費カロリー計算は明確な優位性ですが、全体感としては、やはり新規参入メーカーという荒削りさは残ります。
・6万円のスマートウォッチを買うのではない。最先端のテクノロジー体験とロマンを買う。
やはり、既に有名になってしまったメーカーにはないバックグランドストーリーと技術的なロマン、充電は本当に嫌だという人が腕に巻けば最高に満足度の高い製品だろうと感じました。
最後になりますが、私がMATRIX PowerWatch Seires 2を使ってみて感じたことは、本当のイノベーションとは、ユーザーに負荷をかけることなく、自然と”今の生活”の中に納まってしまうものなのだろうということでした。MATRIX PowerWatch Seires 2はそのような「凄み」を感じることができる存在でした。