動きが「無いとき」vs「あったとき」に通知が行く見守りサービス:メリット・デメリットとは

長引くコロナ禍において「実家で一人で暮らす親に数年ぶりに会った。」「暫く会わない間に親が随分と年を取って心配だ・・・。」というお話をよく聞きます。そのような状況の中、実家で一人暮らしをする高齢者を見守るサービスを導入する方が急速に増えていると言われています。
「高齢者見守りサービス」と一言で言っても、定期的に担当者が訪問するサービス、カメラで実家の様子を映し出すサービスなど、様々なシステムがあります。
※関連コラムはこちら:「高齢者見守りサービスの種類とは?それぞれの特徴を比較
今回のコラムでは特に、センサーが捉えた「動きが無いとき」と「動きがあったとき」によってアプリに通知が行く高齢者見守りサービスにフォーカスして、そのメリット・デメリットをご紹介したいと思います。

「動きが無いとき」と「動きがあったとき」のシステムの違いとは

「動きが無いとき」と「動きがあったとき」に通知が行く高齢者見守りサービスの違いを簡単にご説明致しますと、以下のようになります。

つまり上記2つの高齢者サービスの大きな違いは、「動きがあるとき」に反応するシステムは実家に住む親の活発度が確認できるのに対して、「動きが無いとき」に通知が行くシステムは、一定期間動きが無いという異常を確認できるところにあります。

「動きがあったとき」に通知が来るシステムのメリット・デメリットとは

まず「動きがあったとき」に通知が行く高齢者見守りサービスのメリットとデメリットについて検証したいと思います。

「動きがあったとき」に通知が来るシステムのメリットとは

「動きがあったとき」に通知が来る高齢者見守りサービスのメリットは主に以下の3つです。

1.一日を通して親の安否を確認できる
「動きがあったとき」アプリに通知が来るシステムには、一日を通して親が活動しているかどうか確認できるというメリットがあります。例えばトイレのドアにセンサーをつけた場合、トイレのドアが開閉される度にアプリに通知が行くので、「元気にしているんだな。」と安否を確認することができ、安心感を得られます。

2.親の生活のリズムと変化を確認できる
センサーを親の習慣に沿った場所に設置することで、生活の様子を遠隔からでも把握することができます。例えばセンサーを冷蔵庫につけることで、「ちゃんとご飯食べているんだな。」と感じることができます。よくテレビを観る親でしたら、リモコンにセンサーをつけることで「今日も好きな番組を観てるみたい。」と通知から垣間見ることができます。また、日課で朝・夕お散歩に行く親でしたら、玄関のドアにセンサーをつけることで「今日も元気に散歩に出かけたみたい。」と知ることができます。
逆に、いつもと違う動きがあった時には、「昨日は夕方の散歩に行っていないみたいだけどどうしたんだろう。」「テレビのリモコンが1回しか動いてないけど、ちゃんと消して寝たのかな。」といつもと違う生活のリズムに気づくことができます。

3.一日の活動をレポートでまとめて確認できる

中には「動きがある度にアプリに通知が来ると確認するのが面倒だ・・・。」と思われる方もいるかもしれません。そのような方におすすめしたいのが、半日など一定時間の動きをまとめてレポート化してくれるサービスです。例えばセンサーの反応状況を前日の夜から朝分までまとめたレポートがアプリにアップされます。ですので、夜中にセンサーが動きを検知する度に通知が来て起こされるというようなこともありません。

参照元:リーフィー/株式会社Strobo 

「動きがあったとき」に通知が来るシステムのデメリットとは

「動きがあったとき」に通知があると上記のようにリアルタイムで親の安否と様子を確認できるというメリットがありますが、以下のようなデメリットもあります。

1.異常時を見逃す可能性がある
デメリットは、通知が一日に何度も来てしまう可能性があり、緊急性のある状況を見落としてしまう危険性がある点です。例えば、トイレのドアにセンサーをつけた場合の一日の通知数はどのくらいになるでしょうか?一般的な成人の排尿回数は、一日4〜6回、そのうち夜間は0〜1回と言われています。しかしながら、高齢者は筋肉の衰えなどが原因で、頻尿の問題を抱える方も多く、その場合は、一日8〜10回、夜間に2回以上トイレに行くと言われています。ですので、約2時間おきにアプリに通知が届くことになります。(参照元:「高齢者が悩まされる頻尿。その原因を知って適切な対策を!」有料老人ホーム ネクサスコート 2019年2月)

2.センサー設置場所の選定が難しい
上記のように通知が来すぎるという問題を避けたい場合、設置場所に玄関ドア、窓など一日2~3回程度しか開閉しない場所を選定する必要があります。しかしながら、場所によっては、親の生活リズムが変化すると通知の頻度が増えたり減ったりする可能性があります。
例えば、玄関ドアにセンサーを設置した場合、日や週によっては、一日に何度も外出することもあれば、一日も外出しないこともあるかもしれません。
つまり、「動きがあったとき」に通知が行くシステムだと、設置場所を工夫しないと、日によって通知が変則的になることがあり、見守る側にとって、本当に親が元気にしているのか、解釈が難しくなる可能性があります。

3.親のプライバシー侵害となる
「動きがあったとき」に通知が行くシステムだと、親が実家での行動を子供に監視されていると感じることがあるかもしれません。例えばお手洗いのドアにセンサーをつけた場合、「子供に『またトイレに行ったの!?』と思われるのが嫌だ・・・。」、また冷蔵庫にセンサーをつけて「『また夜中につまみ食いして・・・』と子供に注意されそう。」と気にすることがあるかもしれません。親の性格によっては、最悪の場合、内緒でセンサーを設置場所から外してしまうということも可能性として考えれます。

「動きが無いとき」に通知が来るシステムのメリット・デメリットとは

「動きが無いとき」に通知が来るシステムは、センサーを設置した場所が半日など一定の時間動きがない時にだけアプリに通知が来ます。そのことによるメリットとデメリットはどのようなものがあるのでしょうか?

「動きが無いとき」に通知が来るシステムのメリットとは

「動きが無いとき」に通知が来るシステムのメリットは以下の3つが考えられます。

1.異常があった時に見落とすリスクが少ない
親が1日必ず最低1~2回動かす場所にセンサーを設置し、そこが長時間全く動かさていないという異常がある時だけアプリに通知が来るので、親が普段通りに生活していれば、数カ月、一年など長期間に渡って通知が来ないことが通常です。アプリにお知らせが来るのは、動きが検出されないという異変があった時なので、いざという時の異常を見逃すリスクを効率よく回避することができます。

2.気軽にセンサー設置場所を選ぶことができる
「動きが無いとき」にアプリに通知が来るシステムにおいて、センサーの設置場所を選ぶ条件は「親が1日最低1~2回動かす場所に設置する」ということだけです。
センサーを朝・晩の1日2回しか開閉しない窓に設置しても、1日を通して数10回以上開ける冷蔵庫の扉につけても、通知が来るのは一定期間動かなかった時だけなので、特に気を遣わずに気軽に設置場所を選ぶことができます。

3.親と適度な距離を保ちながら見守ることができる
センサー設置場所を1日何回動かしたのかは、見守る側に通知が行くことはないので、トイレのドアにつけて「『またお手洗いに行ったの?!』と思われたくない・・・。」、もしくは冷蔵庫の扉につけて「『またビールの飲みすぎじゃない!?』と言われそう・・・。」と親が子供に監視されているように感じることはありません。
一方、見守る側にとっても、異常がある時だけ通知が来るので「最近トイレに行き過ぎだけど大丈夫なのかな?」「夜中に冷蔵庫を開けて何をしてるんだろう?」と心配し過ぎるということがありません。
「動きがないとき」にだけアプリに通知が行くシステムだと、普段の生活において互いに意識しすぎることなく、親のプライバシーを守りながら見守ることができます。

 

「動きが無いとき」に通知が来るシステムのデメリットとは

「動きが無いとき」に通知が行くシステムのデメリットは、主に以下の3つです。

1.親の一日を通しての活動を確認できない
センサーが一定時間「動きがないとき」だけ通知が行くシステムでは、一日を通じた親の活動詳細を知ることができません。ですので、「何時に起きて何時に寝たのか知りたい。」「今日、何回外出したのか知りたい。」といった場合、アプリからは確認することができません。

2.「動きがないとき」の通知インターバルを短縮できない
「動きがないとき」に通知が来るシステムは、高齢ではあるけれども一人暮らしができるくらい健康な親を見守ることを想定して開発されているので、ある程度の時間動きがない場合に通知が行くような設定になっています。例えば12時間動きがない場合に通知が行く設定を1時間動きがない場合に短縮したいと思っても、変更できないシステムがほとんどです。

3.緊急事態をリアルタイムで確認することができない
一定の時間センサーが動かない場合にアプリに連絡が来るので、例えば転倒して動けなくなってしまった場合、数時間後に異常通知が来て知るという可能性があります。また異常通知未確認のリマインダーがないシステムもあるので、異常通知を見落とさないよう日々アプリにお知らせが来ていないかはチェックをする必要があります。

おすすめは状況に合わせて設定切り替えができる高齢者見守りサービス

それでは、「動きがあるとき」と「動きが無いとき」に通知が来るシステムのどちらが適しているのでしょうか?以下に、それぞれのシステムのメリット・デメリットを表にまとめました。

システムメリットデメリット
「動きがあったとき」に通知
〇一日を通して親の安否を確認できる
×異常時を見逃す可能性がある 
〇親の生活のリズムと変化を確認できる
×センサー設置場所の選定が難しい
〇一日の活動をレポートでまとめて確認できる
×親のプライバシーを侵害する
「動きが無いとき」に通知
〇異常があった時に見落とすリスクが少ない ×親の一日を通しての活動を確認できない
〇気軽にセンサー設置場所を選ぶことができる
×「動きがないとき」の通知インターバルを短縮できない
〇親と適度な距離を保ちながら見守ることができる ×緊急事態をリアルタイムで確認することができない

どちらのシステムが良いのかは「通知を頻繁に受け取りたい」「異常があるときにだけ知りたい」など好みにもよるかと思います。しかしながら、ほとんどの方が毎日の自分の生活が忙しく、スマートフォンに一日を通じて仕事の連絡が来たり、インストールをしている他のアプリから様々な通知が来るという状況なのではないでしょうか?そもそも実家にいる親に連絡をとるタイミングがなかなか合わないから見守りサービスを利用しているのに、システムから毎日何度も通知が来て自身の妨げになるようでは本末転倒とも言えます。

ですので、普段の生活では「動きがないとき」に通知が行くようなシステムが望ましいと言えます。とは言え、「最近、親の体調があまり良くないので心配・・・。安否確認をリアルタイムでしたい。」ということもあるかもしれません。

そこでお勧め致したいのが、「動きがあるとき」「動きが無いとき」の機能を状況に合わせて使い分けることです。

現在、「動きがあるとき」だけアプリに通知が来る高齢者見守りサービスがほとんどですが、中にはこの2つの機能を兼ね備えており、使い分けができるサービスもあるので、是非参考にしてみてください。

(参照元:「なぜ「動きが無いとき」にだけ通知がある高齢者見守りシステムがおすすめなのか?:3つの理由とは ひとり暮らしのおまもり 2022年12月)